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炎如交際

キング×(数学+鼻血+保護区域)=世界平和 を提唱(したい)ブログです

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【垢らさ間】

パソコンが復帰してくれないのでミニノートたんをお迎えしてうれしかったのでちったい短編、です…諸事情で原稿できなくて…
メールのお返事拍手のお返事が遅くて申し訳ないですうぅ…暇を見つけてさせていただきます…!!ほんとすみませんでもkzkn書かなきゃ腐りそうだったんです…

ちったいかずくん設定を読んでいない方はご一読ください^^




垢らさ間


佳主馬は洗い物をしている健二の背後に立った。健二が振り向いて、穏やかに彼を見下ろす。
「あ、僕が片付けるからいいのに」
「…いいよ、別にこのくらい」
「ありがとう」
健二はあわまみれの手で、佳主馬の持ってきた食器を受け取った。シンクの中にある金盥にぼちゃりと突っ込む。
白いあぶくが崩れながら健二の細い手首に纏わりついている。佳主馬の視線はもやりと濁りを帯びる。けれど視線に篭もるうすぐらい力とは裏腹に、今日も変わらぬ気だるさが彼の体に沸いて無数の虫のごとく無意識の蠕動を繰り返している。虫たちの足はすき放題に蠢いて佳主馬の疲労をかき回すのに、足並みは揃えて眠気へと向かって行く。
水が流れる音と食器が漏らすかちゃかちゃした音が佳主馬の耳の中に滑り込んで、健二はおそらく微笑を浮かべながら、二人分の食器を洗っている。佳主馬はその頭を見上げている。慣れ親しんだ距離感が、その時なんだか佳主馬のこころに痛みを与えた。珍しいことではなかったのに、慣れた痛みはらしくもなく、佳主馬が懸命につくっている諦観のフィルターを刺し貫いてちくりとやわらかい部分に突き刺さった。佳主馬は驚いて、動揺に彼の長い睫はそっと伏せられた。いまさらのことがこんな風に忽然と輪郭をハッキリさせることは自分の未熟だと佳主馬は思った。
佳主馬はシンクから離れて、寝室へ向かった。くらい寝室でベッドはじっと、四肢を張り詰めさせてシーツは体を待ち受けている。佳主馬の疲労した肉体を載せるために四つんばいになって毛布はとっておきに柔らかくなっている。
佳主馬は毛布に潜り込んで目を瞑った。遠くから健二が食器を洗う音がする。佳主馬は自分の瞼の内側に反響しているその音たちが七色にきらめくのを見ている。七色を詳しく分析してみれば、憐憫と嘲弄が交互に圧力を変えながらめくるめく様だ。
腫れている右目の上あたりが疼いた。当たり前のことがなぜこんなにも今日は神経に染み入るのか知れない。暑さのせいだろうか。外気は酷く暑くて陽が落ちてなお燻り、獣の胎内のようだった。ただこの部屋は空調のおかげで心地良い温度に満たされている。だとしたら己の身の内に外のわるい熱塊を残したままでいるのだと佳主馬は思う。そしてその熱塊は膨張もせず溶解もせず俺の中で異物となって俺を苛む悪いものだ。俺はずいぶん前からこの熱を自分で生成している。むしろ俺の中にある熱の毒素が夏のけはいに誘発されて騒ぐのだ。佳主馬はぎゅうと目を瞑る。こんな世迷言のために、睡眠が邪魔されるのは億劫だった。眠らなければ、明日のために疲労を少しでも蒸発させなければと考えるほどに脳髄にとげが出来てまあるくなめらかになってくれない。頭蓋骨を叩き割りたい気がした。そうして鋭敏に不穏を嗅ぎ取る意識を根こそぎ洗い落としてしまいたい。
健二は食器を洗っている。彼が握るスポンジで、健二のぐずついた白い泡立ちで自分の脳みそをきれいにしてくれたらいいのに、指先で触れて俺は恍惚になり俺こそが泡になってあの細い手首に纏わりつきたい。とそこまで考えて、ようやくふぅわりと、佳主馬の意識に影の色が広がり始める。
健二が一つ屋根の下で自分の食器を洗ってくれている。そうかそれだけ切り取ればこれほど安心できるのか。

健二は洗い物を終えて、ひじまで捲り上げていた袖を元通りにした。夏の日になっても健二は家の中で半そでを着ない。特に眠る時は手首あたりまで布がないと落ち着かない。
(…あとは…明日の味噌汁、作っとくかな…えーと冷蔵庫の中身どうだったっけ…あっ、ごはんしかけとかなきゃ…)
健二は右手で左ひじを押さえ、ぐぐぅっと背を伸ばした。骨が軋る音がこきこきいった。些細な家事でも顕著に疲労を訴える、自分の体力の底浅さに嫌気がさす。
「…佳主馬くん、もう寝たかな」
ぼそりと声に出すと、急に佳主馬恋しくなって、頬が不当に赤らむのを感じた。健二はふらふらと寝室に向かい、閉じられた扉をおずおずと開けた。ちょうつがいが微かにあげる鳴き声すら健二の臆病を刺激する。けれど、佳主馬はいつもみたく随分疲れていたみたいで、仰向けになったまま身じろぎもしなかった。健二は彼を起こさないように細心の注意を払いながら彼の枕元まで歩んで、ちょっと考えるそぶりを見せてから、膝を折る。佳主馬の唇からは安穏とした寝息ばかりが漏れていて、夢も映さないくらやみを眺めているのだろうと想像する。そこで健二は、自分が息を止めていることに気がついた。健二は音がない嘆息を長々漏らした。佳主馬がちょっと口を噤んで、またすぅすぅとやりはじめる。
健二は佳主馬の、右目あたりに膨らんだ痕を眺めた。五センチくらいに渡って蚯蚓腫れがのたうつ。腫れた肉に灯されるだろう痛みが、健二の胸におなじかたちをつくる。
健二の目がゆるゆると潤む。健二は骨ばったこぶしを握りひらき、佳主馬の髪に静かに触れた。
この人のために何かしら出来ることがあるならばしようと思う。
だが今健二の目の中を揺らがしているものは本能だった。健二は覚束ない生臭さをそうとは知らずに、ただ指先で佳主馬の髪を撫ぜる。佳主馬はその内、閉じられていた瞼をぱくりと開けて、黒曜石で出来た鋭いまなざしで健二を捉えた。鋭利なまなざしは健二を傷つけないが健二に深く差し込まれるのに一番適している。健二はうつくしい彼の目を正面から見下ろしていた。健二はゆっくりと彼の顔に顔を寄せて行った。その内に噛まれていた唇が解けて、隙間から褪紅色の舌先がちらりと覗ける。
佳主馬は健二の舌のために治りかけている傷跡が、奥底に沈静していた痛みを引きずり出すのに驚いた。漣のように訪れた覚醒に鈍く与えられる痛痒が、まるで夢の手ごたえで神経に染み渡っていく。網膜にちかちかと、見覚えがない小さな光の粒が爆ぜては消えていく。右目の上に横たわる傷の上をゆっくりと渡る生温かな血肉と粘膜の湿り気と、知らなければ分からないくらい希薄な健二の体臭に起因した、痛みは佳主馬の骨の髄を震わせた。佳主馬の口はぽかりと開いて、与えられる感覚に依存しきった幼児の風格を備えている。
ほんの数秒の間だった。健二は一度舐めたのと同じ場所を、もう一度舐めた。そうして、今度は舌を佳主馬の頬に滑らせて、佳主馬の舌が潜む口腔間際の唇に、てろりと触った。
佳主馬は腕を上げようとしたが両の腕が微動だにしない。鍛えた筋肉の有り余る力は、萎縮して内側にしか伝達されずに痙攣するに留まった。
健二は顔を離して、佳主馬を覗き込んだ。佳主馬は表面張力という言葉を思い出していた。健二は穏やかな顔をしていたけれど、瞳は光沢を湛えて今にも溶け出しそうに潤んでる。睫くらいは既に濡れているのかもしれない。
健二はゆっくりと前傾して、枕の端に顔を埋めた。佳主馬は少しだけ体を起こした。
「健二さん」
健二は返事もせず、動きもしない。佳主馬は苦笑した。
「健二さん、おいでよ」
言いながら、毛布に隙間をつくる。健二は枕に顔を埋めたままいやいやと首を振る。
「………なにもしないから」
宥めるように言うと、ようやく健二が顔を上げる。じとりと剣呑な顔で睨まれる。
「なにもできないからの間違いでしょ」
佳主馬は呆気にとられてきょとりと目を瞠った。隙に健二はベッドに乗りあがり、ごそごそと佳主馬の作った隙間に痩躯を捻じ込んでくる。
「………勝手に傷ばかり作りやがって」
胸の辺りでそう呟かれて、佳主馬は、う、とたじろいだ。
「…僕だって」
健二の手が佳主馬のシャツの襟ぐりを掴み、むやみに引き伸ばす。外では着れないほどくたびれたTシャツを寝巻きに流用したやつだから、べろりと胸筋の大体が露になる。健二はまた舌を伸ばして佳主馬の皮膚に触れさせた。
佳主馬は健二の体に腕を回した。相変わらず細く仕上がっているけれど、自分よりも背丈の伸びた、ちゃんと一人の男の体だった。傷を舐められる時とは違う痛みを伴わない接触だったが、佳主馬はさっきよりも胸が詰まる思いだった。
「………僕は、君にだから、傷なんて作りたくはない」
唇の柔らかさを押し付けられて、健二の言葉は動きといっしょくたになりながら佳主馬の胸にしとしと染みる。
「でも、このくらいは、僕にも、くれていいだろ」
佳主馬は健二の頬に手を這わせた。いつもより、少し熱い気がする。
「わがまま言わないから、僕だって、これでじゅうぶんなんだから」
佳主馬は健二の口を塞いだ。さっき舐めとられた自分の血の味がした気がした。ほんとうは血なんて流していないが佳主馬は健二に血液を啜られたような気持ちになっていた。健二の舌は可愛かった。どこで触れても触れられてもとても愛らしかった。だから佳主馬は懸命に絡ませて溺れてしまう。
健二のうちがわから立ち上る体温がほかのどの熱よりも自分の中にある毒のほのおを燃え上がらせて、健二に雪崩れ込もうとする。
佳主馬の口に混ざる唾液が溜まるのを、健二は吸って飲み下した。ちいさな声で、わがままは言わないよ、と呟いて、健二は佳主馬の体に腕を巻きつけた。
佳主馬は健二の頭を見下ろしながらゆっくり目を閉じた。こうしてこのベッドに二人身を横たえている間は体のことなど忘れ果てることが出来る。ベッドの上と天井の境界でものぐさな二つの生き物が崩れそうになりながら眠るだけだ。互いに尽きない性欲もない交ぜにして体温だけで安心している愚かさと明るさのせいで胸がいたい。むねがいたい。
ほんのちょっぴりいやらしいことはしたから、あとは腕と脚を互いにしっかり巻きつけて
「おやすみなさい、健二さん」
癖のある髪の毛を撫ぜてやれば、僕だってこれでじゅうぶんなんだ、と消え入るような声がした。




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  1. 2010/07/19(月) 23:14:51|
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